Home > 万引問題情報室 > 「万引実験」でついに掴んだ確信!

「万引実験」でついに掴んだ確信!

中島正一さん
コンビニエンスストアストアマネージャー
中島正一さん 52歳

コンビニエンスストアのマネージャー職について、生まれて初めて万引の最前線に放り込まれた中島さん。 実態の深刻さに敢然と立ち向かい、絶えず防犯対策のアイデアに知恵をしぼっている。
2年程前に製品チェックで訪問したのが縁で、コミーは中島さんと知り合うことができた。
今回は中島さんが行ったユニークな万引実験と、その結果得た貴重な体験を語ってくれた。
(以下、私=中島さん)

雑誌コーナーに対面した棚の万引が多く、悩む日々

コンビニエンスストアでは、雑誌コーナーが道路際にあり、ウィンドウガラス越しに、立ち読みしている人が見えるようになっている配置が一般的です。
店側は、立ち読みをある程度許容し、「この店には人が入っています。にぎわっていますよ」ということを道行く人にアピールし、集客に結び付けるよう配慮しています。
ここで頭が痛いのは、雑誌コーナーの対面にある棚の商品の万引が非常に多いことなんです。
この部分には、化粧品やトラベルグッズなどが並べてあり、店内では比較的値の張る商品が多く置いてある上に、そのコーナーはレジから死角になっている。
そこで、万引防止対策として、その棚の上に平面鏡を取り付けてみたが、映る範囲が狭くあまり効果がありませんでした。
もともと店内には、本部の指示でレジの対角線上にコミーさんのオーバルミラーが2個設置してあるけれど、問題のこの部分とは距離があるため抑止力が落ちてしまっています。
その他ATMもあるので、防犯カメラを5台設置しています。

電子レンジに取り付けたFFミラー
電子レンジに取り付けたFFミラー

しかし、なかなか万引がなくならない現状に、なんとか打開策を見い出したいと考え、コミーさんに相談しました。
立ち読みをしている人の目が気になるように雑誌のウィンドウと化粧品什器の上に、電子レンジに向かっている時でも店内のちょっとした動きが分かるようにレンジ本体にも、合わせて3箇所にミラーを増設したわけです。
それからです、今回のこの処置がどんな効果があるのか、うちは万引しにくい店になれたのか?それはどうやったら分かるのか?と、さんざん考えたわけです。

そうだ、万引する奴に聞いてみよう! 「万引実験」を実施

企業が自前のコンピュータシステムをハッカーから防御する為に雇われるのは元ハッカー経験者がほとんどだという。
盗む者の心理を知るには、元または現役の万引経験者に聞いてみるのがいちばんではないか、いや聞くだけに留まらず実際に万引してもらえば自店の弱点やテストで設置したミラーの効果も判明するだろうと思いました。
そこで当店でアルバイトをしている人たちの交友関係を頼りに、3人ほど紹介してもらい、日を決めて万引してもらうという「万引実験」に踏み切ったんです。
その子たちの顔は誰も知らず、私はじめ店内のスタッフは“万引犯が現れる”という緊張感を持って勤務に就くというわけです。

ホンの数分の間に、男性用化粧品が数点も… 盗品の山に愕然!

私が勤務について4,5分ほどして、アルバイトが十代後半の男子を伴って、「もうやりました」と言ってきたんです。
「ええっ!?そんなばかな!!」と思いつつ事務所で万引した商品を出してもらいました。
男性用化粧品が続々と出て来るではありませんか!
これらは皆、先日防犯ミラーを増設して対策を強化したばかりの問題箇所の物ばかり。
別の2名の場合も、私たち店側の人間は誰一人気付かぬうちにやられてしまいました。
インスタントカメラや高額の電池類をはじめ化粧品、菓子類のべつまくなしの惨憺たる結果でした。

この位置からもスキをねらっている
万引犯は、この位置からもスタッフの
動きを監察しスキをねらっている

そして翌日、前日の子たちに再度万引してもらったのです。
今度は相手の顔は分かっている訳です。
しかし驚くことにこの日も私たちスタッフは彼等がいつ万引したのかまったく分からないうちに大量に万引されてしまったんです。
店側の人間が彼らを注意している以上に、万引犯は店のスタッフをよく監視していて、私たちが他のお客様の応対をしている一瞬をねらって犯行を行っているんです。愕然としました。
それでも気を取り直して当初の目的である「万引しにくい店」となるためのヒントを得ようとその子たちから話を聞きました。

いちばん怖いのは人の目! まだまだ目が行き届かない死角が問題だ!

彼等の話から分かったことは

(1)防犯カメラは全然怖くない。

おそらく誰もチェックしていないだろうし、見ていたとしても、カメラの死角で盗めばよいのだから全然怖くない。

(2)人の目がいちばん怖い。 店員に限らず、誰かに見られていないか常にチェックしている。

ミラーで対策した箇所から盗品がたくさん出て来たことで、最初は防犯ミラーの効果を疑いました。
しかしよくよく話を聞くと 「カメラが向いている所やミラーがあるところではポケットにしまったりというようなことは出来ない。
誰かに見られているかも知れないから。やるのは人の目の行き届かない所で」。
つまり「カメラの向いている所やミラーのある所では盗めない、買うふりをし着手だけ!」というのです。

もっとも万引に狙われる雑誌コーナー
もっとも万引に狙われる
雑誌コーナーに対面した棚

もしカメラやミラーが無かったらその場でやられていた、というわけなんです。
コンビニはセルフ方式なので、購入するふりをしてカゴに入れ、死角で盗むこともあるので、必ずしもその商品のある棚で、即万引しているとは限りません。
「万引実験」から店内のどこにいても死角が生まれないような工夫を施すことがまだまだ足りないことが分かりました。
また、今回「万引実験」に協力してくれた3人はこちらの真剣な取り組みが伝わり、万引が“犯罪行為”であることを理解してくれたようでした。

私が警察に突き出した万引犯は、会社をクビになってしまった。 突き出した方も後悔の念が‥

「万引実験」では、その他に学校などで目新しい品物を持っている子たちは「○○○(店名)でもらってきた」と、万引をまったく悪びれず、友人同士で日常的に話をしているというんです。
まったく罪悪感を持たず、ゲーム感覚で万引をやっていることがよく分かりました。
この話から私は、万引犯には
(1)初めから万引目的で来店する人
(2)お客様として来店し、つい出来心で万引する人
の2通りがある。
「万引実験」後、彼らから万引する手口を聞いて、前者の場合は防ぎようがないと思いました。
しかし後者のタイプは、こちらの対応によって未然に防ぐことが可能ではないかと考え、今後は、後者の人たちを抑止する店づくりをめざしていくべきではないかと思ったのです。
そしてそれは、次の事件をきっかけに出来心で万引する人を減らすことは「販売する側の責任でもある」と思うようになったのです。
年の瀬も押し迫った昨年末、パンを万引した中年の人を捕まえて警察に引き渡しました。
その後、警察からの連絡で、万引犯は家庭的に恵まれずに成人し、会社に勤めていたけれど、それが原因でクビになってしまったそうです。
私は「通報しなければよかった」と後悔しました。
「万引実験」とこの事件を通して、私は“この店から犯罪者を出さないようにしよう”と決意しました。

お客様を監視するのではなく、感謝の気持ちで声がけを 「万引実験」と万引クビ事件から得た確信!

コンビニ店内配置図お客様としてお店にご来店いただいた方を「万引犯ではないか?」と疑うのは不謹慎だと思うようになりました。
一人ひとりを万引犯ではないかと考えていくと疑心暗鬼になって、お店の雰囲気も悪くなってしまいます。
それより、できるだけお客様と親しくなって常連さんを増やしていき、その結果万引しづらくした方がどれだけよいか…。
「今日は寒いですね」とか「クラブ活動はえらかったやろ」というような声がけを積極的に行っていこうと思います。
スタッフには、マニュアルどおりに「いらっしゃいませ」と言うのは“作業”、心を込めて「いらっしゃいませ」というのは“仕事”だと言って、お客様に感謝 の気持ちで接し真心からの声がけを指導していこうと思い直したんです。
販売する私たちの意識を変えていけば、出来心からの万引を減らすことができる!と確信しました。
そして三つのスローガンをかかげました。
店内はできるだけ明るくし、スタッフの雰囲気も明るくする。
お客様とできるだけ会話をかわして親しくなる。
地域のお祭や掃除会などの行事に積極的に参加し、地域に溶け込んだお店をめざす。
もちろん、万引犯には本当に腹が立ち、精神的なストレスは相当あります。
意識改革だけでは万引はなくなりません。
これからも機器類を活用して、万引しづらい店づくりをめざしていきます。
根本的な解決には、機器類ではなく、販売する側の意識改革が求められているように感じました。
この方法に転じてから約1ヵ月、若干ですが万引が減っているように感じます。
間近にある棚卸を済ますと、きちんとした数字が出るのでちょっと楽しみです。

お試し無料貸出し制度

最適なミラーを選ぶには(1)映る範囲、(2)像の大きさ、(3)使用環境の3つの条件が決め手になります。 現場で確認したいこともあると思います。詳細はご連絡ください。(個人のお客様は除きます)