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建設通信新聞 08年3月24日号

地方から地域から

建築に気配りミラー コンペで新しい使い方発見

コンビニエンスストアなど店舗の天井の隅に付けられた鏡には、万引き対策のほか、来客に対する店員の気配りツールとなる役割がある。コミーが製造・販売するミラーは、店舗以外にも飛行機やATM(現金自動預け払い機)など幅広い分野で活躍している。新分野開拓のため、同社製品を建築に組み込んだアイデアコンペを実施中の小宮山栄社長は、「気配りのために使ってもらうケースが多いが、違った目的での提案を楽しみにしている」と期待を込める。

同社のミラーは、店舗やATM向けの防犯用を始め、飛行機の手荷物入れなどに活躍の場を広げている。
現在、手荷物入れの忘れ物防止ミラーとして世界中の航空会社が採用しており、世界最大の旅客機であるエアバスA380にも標準装備されている。小宮山社長は「世界中の航空機に約7万個使われているが、採用が始まった8年前から一度も壊れたという報告はない」と品質には絶対的な自信を持つ。
用途が違うミラーでも、その根底にあるのは「最終的にユーザーがどう思っているか」という視点だ。「公共施設でいえば来訪者、病院でいえば患者、航空機でいえば乗客のことを第一に考えている。CS(顧客満足)ではなく、US(ユーザーズサティスファクション=使用者満足)が大事」

飛行機やATMで活躍する「FFミラー」は、フラットだが凸面鏡のように広い範囲が見える。出っ張らず、小さくても効果があるためユーザーからも好評を得ている。建物内では廊下のL字路で死角を減らし、安全性を高める効果がある。
エレベーターの扉付近に付けた場合、乗り込もうとしている人がいれば箱内からでも確認できる。しかし、採用してもらうために設計事務所に説明に行っても、断られることが多いという。「なんのために付けるのかが分からない、と言われる。なかなか分かってもらえない」ともどかしさを隠せない。ミラーを取り付けることで建物のデザイン性が損なわれると考える建築家の説得も問われる。

「しかし、実際に現場では役に立っている。想定と違う使われ方をしていることもあるが」。アイデアコンペはそんな思いもあって、ことし初めて開催する。既に学生を中心に約400件の登録があり、4月15日には作品応募が締め切られる。「おもしろそうだから使ってみたい、と設計者が思えるようなアイデアが出ればうれしい。新しいことをやっていけば、知り合うこともできて知恵ももらえる」と期待している。
初回の評判が良ければ、この先も続けていく。「小さく生んで大きく育てる」構えでいる。
コンペの審査委員を務める建築家の北川原温氏の父君は、小宮山社長の高校時代の恩師だという。「そういう縁やつながりも大事にしたい」