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日刊工業新聞 03年12月8日号

いま製造現場は

SCM導入、在庫ゼロへ 翌日出荷の体制に

コンビニやスーパーなどの商業施設に入って天井に目を向けると、球面ミラーがこちらをのぞいている。コミーは、この防犯・安全ミラーで7割のシェアを持つ同ミラー専業の製造・販売会社だ。

「これだけしかやってませんから」と控えめな小宮山社長だが、多品種少量・短納期を実現しないと成り立たない事業だ。ミラーのサイズや視野範囲など、店舗面積や設置場所によって仕様が異なるため、ミラーの種類は既に100を超え、まだ増え続けているという。
同社は、95年にトヨタ自動車の新生産方式(NPS)を学ぶためにコンサルタントを招き入れ、完成在庫を持たない受注生産を確立。作業レイアウトの見直しやカンバン方式の導入のほか、縦に重ねることのできるオリジナルの台車の開発、組み立て時に両手が使えるように電動ドライバーを作業台下に固定するなど、さまざまな作業の効率化、省スペース化を進めた。「いつでも簡単に壊せて作業レイアウトをすぐ変えられる」(小宮山社長)ように、すべての作業台はベニヤ板の手作りでキャスター付きだ。

このように”カイゼン”は着実に進んでいたが、ミラーの種類の増加とともに増えた梱包用段ボールの在庫が問題となった。段ボール業者に小ロット対応のお願いから始めた。コミーの生産計画をあらかじめ提供して、それに合わせて段ボールを納入する仕組みづくりを目指した。サプライチェーン・マネジメント(SCM)のコンセプトを、段ボール調達に適用したわけだ。00年に賛同する業者を見つけ、NPSなども一緒になって取り組んだ。半年後には、15時までの注文なら翌営業日に出荷できる体制を、在庫ゼロで実現した。
コミーは他部品にもSCMを広めようと試みているが、「お金をかけなくても生産性は向上できるのに、手を付けない中小企業が多い」(同)と反応の悪さに残念な表情を浮かべる。

NPSやSCMは最先端の大企業だけがやることではなく、中国への生産シフトで苦しんでいる中小企業こそ積極的に取り入れるべきだろう。コミーの試みが広がるかどうかを注目したい。