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日刊工業新聞 06年12月1日号

モノづくり屋自慢3

最高峰は宮大工棟梁

技 応援のビジネスを

日刊工業新聞
日刊工業新聞 06年12月1日号

モノづくり屋の最高峰は宮大工棟梁ではないだろうか。『木に学べ』(西岡常一著)によれば薬師寺には西塔と東塔があり、著者は西塔を復元、再建した。 「大地震があって東塔がゆがんだまま建っているのに西塔が倒れたということになったら、つくった私は生きていられないですね。腹切って死ななければなりませんな」

「室町の時にゆがんだものが直しきれなかったんだと思います。明治の時に解体修理しておれば直りそうですが、金はたくさん使ったけど、そこまでいかなかったんでしょう。ずさんなやり方だったんですな。しっかりした棟梁がいなかったということでしょうな」。

1300年前の大工さんの作品を見て、1000年後の人に自分が恥をかかないようにしようと本気で考えているのである。こうなると神様に近い。現にモノがそこにあり、説明でき、自分でやってみせられるから説得力があるのである。

手先の器用な日本人はこれからもモノづくりでしか生きられないと思う。これからはモノづくり屋だけでなく「モノづくり屋を応援するまじめなビジネス」がもっとできていいと思う。

『マネジメントとは何か ドラッカー学会追悼懇親会に寄せて』(ドラッカー学会編、非売品)によれば「人類の歴史をじわじわと、そして時には急激に変えてきたものは、政治的な事変、事件ではなく、技能、技術の進歩だ。狩猟の技術に始まり、稲や小麦の農業技術、潅慨の技術、衣食住にかかわるそれこそもろもろの技術、馬の鐙(あぶみ)、火薬、印刷、蒸気機関、鉄道、コンピューターなどだ。馬の鐙という技術さえ、騎士の成立を通じて封建制をもたらしたという。火薬がその封建制を崩し、中央集権への道を開いた。21世紀においても、カギを握るのはモノづくりの技だ」という。

「今の先進国が先進国の地位にあり続けるためには、理論の裏づけがある技能を維持していかなければならない。英国で産業革命が成立したのは、蒸気機関を可能にした工具製作技術があったからである」とあった。小泉さんや安倍さんより携帯電話や独自技術の方が、日本を変えていくかも知れぬ。