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読売新聞 08年4月18日号

創る

表面の溝で視野拡大

1996年11月、川口市の本社屋。米航空機大手のボーイング社の調達責任者を前に、小宮山栄社長(68)は「目の届きにくい座席上方の荷物棚にはり付ければ、客室乗務員が忘れ物を迅速にチェックできる」などとFFミラーの利点を説明した。軽量の特殊プラスチックを使用し、従来の平面ミラーと比べ、10分の1程度の重さ。機体軽量化を求める航空機メーカーは購入を決めた。

平らに見える鏡の表面には細かい溝が刻まれている。溝の斜面を利用して左右のモノを幅広く映すことを可能としたアイデア商品。その誕生はちょっとした遊び心がきっかけとなった。それまで生産の柱である凸面鏡は視野は広いが出っ張りがあって用途は限られていた。「平らにならないかなあ」。小宮山社長の一言が実を結んだのは86年。予想以上の人気を呼ぶ。特に現金自動預け払い機(ATM)で後ろからのぞかれるのを防ぐため、全国の金融機関が採用している。

「役に立つモノを作る」がモットーの小宮山社長は新しい商品開発のため、顧客回りを欠かさない。ある外国の航空大手社員との会話で、「FFミラーを取り付けるのは忘れ物防止ではなく、爆弾など不審物発見のためです」と聞かされた。考えてもみない使い方に、自らの考えの至らなさを痛感した。

5月20日、世界最大の旅客機「A380」が日本に就航する。機内には200枚のFFミラーが装着されている。

 

日航機43%装備
日本航空技術部客室技術グループ(部品の品質検証担当)藤本明子さん
「1999年からFFミラーを採用しており、現在はJAL機の43%に当たる93機に装備している。瞬時に忘れ物などの検査ができるため、品質面でも大変満足しています」