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最高のはきもの(2008.05)

私はオリジナルな凸面ミラーを開発、商品化しているものです。(当センターに展示を始めて10年以上になります)。  仕事とは別に下駄とはしのユーザーとして、3歳頃から使い始めて既に45年。
“ニュー・ゲタ”を作りたいと思ってからもう10年。
時の流れを感じますが、考えるたびに「昔はすばらしい履物やはしを自然に使っていたのだなあ!!」と思っています。
私の夢“ニュー・ゲタ”が完成し、これをサウジアラビアの人やアメリカ人、日本の若者達が履いたら面白いだろう。
また、ついでに一つの商売にも出来たらと思っています。
しかし、現実には難問がいっぱい。興味のある方、ご一報下さい。

●何故、下駄は消えたか?
 
日本はここ百年、洋風化のものすごい波を受けたが、ほとんどの「衣食住」は「洋式」「和式」に分けて使いこなしていると思う。茶碗、はし、タタミ、トイレ、衣類や結婚式まで「和」と「洋」の両刀使いをして、生活を楽しんでいる。
  しかし、あの素晴らしい履き心地の下駄は今はほとんど姿を消してしまった。
  私の記憶では、今から40年前は、ほぼ全員が履いていた。また、30年前は、ほとんどの高校生は下駄で通っていた。
  しかし今では靴下など窮屈なものを履き、水虫の素になる「靴」か、ペッタン、ペッタンの「サンダル」みたいなものに代わってしまった。
  以前、田中角栄が今太閤華やかなりし頃、下駄に背広スタイルで一匹百万円の鯉にエサをやっていた写真があった。あれは自宅で散歩できる広大な「土」があったからそれなりに様になっていたかも知れぬ。また、対する共産党宮本顕治も下駄好きであった。
  また、森本哲郎は「日本の挽歌」で下駄が無くなってしまったことについて、「失われた『時』、失われた『土』、そして、失われた『日本』のような気がした」と書いている。
  私は下駄が無くなった原因として「土」が無くなり、コンクリートになってしまったためと思う。コンクリートで下駄を履くと、クッション性がないうえ、音が出てみっともないのである。それに対する商品開発がされなかったためと思う。

●散歩と履物 

私は時々散歩する。ジョギングは身体をきたえるため、精神をきたえるため、頭をはっきりさせるため等明確な目的がある。しかし、散歩は目的がわかりにくいが、ベートーヴェンをはじめ、世界の偉大な創造的な仕事をした人のほとんどが散歩したのではないかと思う。散歩の目的は「無所属の時間を作る(山本七平氏の言葉)」ことであると思う。我々は社会のどこかへ属さなくては生きていけない。しかし、そこに属せば、その立場での「考え方」や「発言」となってしまいがちである。「お父さんの立場」「部長の立場」等からいろいろ発言しているうちに、それが正しいと思い込むよになり、分別くさくなる。そして、その立場を有利にすることを「頑張る」というのだと思う。
  「無所属の時間」とは、どこにも属さず「頑張る」を忘れて、一つの生命として生まれて来たことを「喜び」として、自分や社会を見つめる時間と思う。そこから真の創造が生まれるのではないかと思う。
 これからは、ますます社会は管理化、組織化され、競争社会が続くと思う。そのペースに合わせようとすれば自分を失うことが多くなり、「無所属の時間」が極めて大切になると思う。
 そしてこの時間を作るのに、下駄による毎日の散歩が極めて良いのである。私は「土」に「下駄」は最高の履物と思っている。 
 パチンコをしている時にも「無所属の時間」になる時がある。当初は「いくら使おう」とか「景品を取ってやろう」とか「損するのではないか」とか考えるが、玉がある程度出て、もう「どうでもいいや」の気持ちになった時、ファーといろいろ考えが浮かぶ。これが「無所属の時間」である。所属しているときは頑張って「考える」のに対し、無所属の時間は考えが「浮かぶ」のである。

●スニーカーと下駄の違いは?

・スニーカーは、たとえ病人であっても「私は健康ですよ」と見せる履物。
  ひとりでに急ぎ足になり、社会の仕組みに適応する「健康」「スピード」「若さ」の表現。
・下駄は「マイペース」「自由」「考えが浮かぶのを待つ」

●NEW GETA(ニュー・ゲタ)を創りたい

 クッション性があり、音の少ないコンクリートに合ったゲタを作ってみたい。いまでは下駄とはいかにも名前だけでもスマートさに欠ける字だ。ネーミングを「ケタックス」とかに、全く変え、ジーンズに合った若い女性が飛びつきそうなデザインを考え、原宿あたりから売り出そうか。
いや今の日本の若者は保守的でマネ好きかも知れぬから、まずアメリカ西海岸あたりから流行らせ、素足のファッションを作ろうか等、当初、夢をでっかく持った。しかし、これは宣伝費がべらぼうにかかり、万一当たったとしてもよほど特許で保護しない限り、大企業にもっていかれる。
 しかし現代は情報化時代で多品種、少量生産の時代、宣伝費はあまりかけなくても、世界でひとつしかないユニークなもの、しかも使ってみて、ライフスタイルにあわせ、継続的なファンが出来れば良いと思う。大企業は10人に1人が喜ぶ製品を作り、我々は1万人に1人が喜ぶオリジナル製品を作れば良い。我社の製品は現にそれである。
 もう考え始めて10年になるが、本業の製品創りシステムがまだ確立していないため、リスクの多いこちらのニュー・ゲタに夢中になれない段階です。

 興味のある方ご一報下さい。

────ゲタを履いて散歩をしてごらんなさい。 自由な発想がうまれるから。────

●ゲタの良さ……………シンプル・履き心地・気軽・木の肌ざわり・通気性・よごれにくい・左右対称・とっかえ可能・サイズに関係なし・水よけ・裸足で可・鼻緒の感触

●創りたいNEW GETA……ファッション性・新素材・アピールするもの・ネーミング・セールスポイント・流通ルート 

●以上は20年前(昭和63年6月)の「都貿協(会報)」に掲載されたものです。(一部修正)

  今も思いは同じですが前書きのようにはし(箸)にも少し興味がありました。
  昭和63年(1983年)といえばFFミラーを初めて発売した年です。バブルの盛り、若者はもっと元気だったと思います。