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「万引問題」物語<番外編> 

「万引問題」物語<番外編>

警察との協力で社会システムの再構築の兆しが…

このレポートは警察の動きに詳しいジャーナリストD氏によるものです。 「告訴を躊躇する店側」と「手早く事件処理を望む警察側」も、万引増加の一因だ。最近の警察、学校、店の協力体制づくりに期待。 「万引きで面倒なのは、実は犯人を逮捕したとき。店側から調書を取って、犯行現場を確かめるため、逮捕翌日などに実況見分しなくてはならない。確かに点数になるけど扱う件数が多いと、はっきりいってわずらわしい」 これは東京・渋谷の繁華街で勤務する警官の生の声だ。警官にとって楽なのは、検察庁に書類を送らない「始末書」で済ませること。これだと刑法犯として処罰されないわけで、万引きした側の反省も促せない。 また、成人で前科がなく被害品も小額の場合でも警察は通常、「微罪処分」として書類送検する。ところが、店が被害届も出さず、告訴もしない場合は、警察側は「始末書」扱いにするのが基本だ。 実際、「始末書」止まりになる店舗が多いが、「店側は手間がかかると面倒がらず、積極的に告訴・被害届を出すことが大切。警察は面倒でも対処せざるを得ない」と本音を漏らす現役警察官もいるほどだ。万引きにおいては、告訴を躊躇する店側と、手早く事件処理を望む警察側の利害が一致しているようだ。

●東京駅構内の売店250店で万引被害は半年でたった3件?

2002年7月に東京駅構内で、コンビニ店長が万引犯の男を果敢に追いかけ、犯人の凶刃に倒れる痛ましい事件があった。駅には250店を超えるコンビニや飲食店などがあるが、同年上半期で店から警察に届けられた万引被害は、わずか3件だけだった。 駅構内にある売店では「警察に被害届を出すと、警察署に赴いたり、店内で逃げた犯人の指紋採取に協力したりしなくてはならない。その間、店は営業できないので損害を被ることになる。限られた人数や時間を割いて、千円前後の被害届を出す気は起きない」と実情を吐露している。被害を届ける手間より利益を優先する店側の姿勢が見え隠れする。これに対して、東京駅を管轄する丸の内署では「店舗の数に比べて、被害届は明らかに少ない」と指摘する。 この万引犯の男は強盗殺人罪に問われ東京高裁の控訴審判決で、裁判長が「一審の量刑は軽すぎる」として懲役15年の一審判決を破棄、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。殺人までに及んだ犯行が商店関係者に恐怖感を与えていることに加え、万引きを軽く見る現代の悪しき風潮に司法が適切な判断を下したといえる。

●警視庁が公立校すべてに補導情報を提供。警察と学校が万引対策で連携

警察庁によると、1993年の全国少年補導件数は約65万人だったものの、2002年は2倍弱の112万人にまで急増。東京都内でも補導は増加傾向で、同年に全国で摘発された刑法犯少年の再犯率は約3割と過去10年間で最悪になるなど、少年犯罪の抑止が急務となっている。 こうした中、都内の事件を管轄する警視庁では、万引きや家出などの不良行為で補導した少年・少女の情報について、各警察署から少年が通う都内すべての公立小中高校へ通知する方針を決めた。補導された未成年者に関する情報はプライバシーに対する配慮から必ずしも学校側に通知されていなかったが、「学校側と警察が共同して“犯罪予備軍”の芽を摘むことになる」(警視庁幹部)として検討されることになったという。 同庁では各警察署など関係先の態勢が整い次第スタートさせる方針だ。広島県警や宮城県警では、逮捕などの非行情報については学校側に一部通知しているが、法に触れないものを含めた少年の補導情報を一律に学校に通知するのは前例のない試みとなる。 しかし同庁の場合、対象は公立約2200校だけで私立約500校は除外され、完全な補導情報提供システム構築には至っていない。こうした警察側のアプローチに対し、全国の学校も理解を示し、補導情報を生徒・児童の犯罪防止の啓蒙活動に役立てることが今、求められている。

●埼玉県警が「地域捜査係」を新設! 警察と学校が非行少年をマーク

埼玉県警は、県内ほぼすべての警察署の地域課に、万引や少年の補導といった軽微な事件を検察庁に送検するまで扱う「地域捜査係」を2003年秋に新設した。今まで地域課からこうした事件の捜査を引き継いでいた各警察署の刑事課や生活安全課の負担を軽減する。また、警察官一人当たりの刑法犯認知件数が17.9件(2002年)と全国最多ということもあり、「攻めの捜査」で全国最低の犯罪検挙率の向上を図るのが狙い。警察庁によると、同様の取り組みを進めている県警はほかにもあるが、地域捜査係として新設するのは異例だという。 埼玉県は、地域課から引き継いだ少年事件が処理されないまま時効が完成するなどの不祥事が最近相次ぎ、県警が対策を検討していた。汚名返上のためとはいえ、こうした活動が万引を含めた犯罪抑止や検挙に役立つことは間違いない。 また、県教委と埼玉県警が、児童・生徒の非行防止などを目的に、学校と警察官が情報交換を行なうための協定を結ぶなど地域を主体とした防犯対策の動きも出ている。埼玉県の学校と警察の連絡協議会では従来、一般的な情報交換しかされていなかったが、今後、児童らの名前を挙げて連絡しあうことになるという。警察からは「逮捕したときや、児童相談所に通告したケース」に、学校からは「問題行為と、それによる被害を防止が必要なケース」などのときに連絡する。結果的に、警察と学校が共同して非行少年をマークすることになるが、万引被害を減らすためには必要な処置だろう。

●親に損害賠償請求! 店側の積極的対応に警察も評価

東京都の書店商業組合は、本を盗んだ未成年の保護者に対しても、代金に加えて防犯対策費の一部も損害賠償請求することを2003年末に決めた。2002年の一年間に、万引で検挙・補導された少年は、全国で約4万人。「都内では子供による万引の一割が書店でのもの」(警視庁)とのデータもある。しかし、警察に届け出がされていない万引被害も多く、万引被害の数字は氷山の一角に過ぎないとみられている。 このため同組合は「いつまでも減らない万引きに業を煮やしている」と怒りをあらわにしている。今回、弁護士らと協議して万引損害は、防犯カメラや警備員の配備費用の一部や、事情聴取で警察に出向く店員の人件費なども含まれると判断した。訴訟対象としては、計画的な集団による犯行、常習性のあるもの、被害が多額に上るものなど、悪質な犯行に限って、損害の一部を万引きした子どもの保護者に請求するという。 こうした店側の動きについて警視庁幹部は「防犯対策費を請求することで、“万引は悪いこと”という世論形成に一役買うことができる」と評価している。そもそも今回の損害賠償請求の方針は、少年たちの罪の意識が低いのに加え、保護者も同様に低いという悲惨な現状が根底にある。万引を減らすためには警察の防犯活動も必要だが、何よりもこうした親の目を覚まさせる店側の積極的な対応も警察の“援護射撃”となることは間違いない。

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