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デルに学んだ物語<連載No.3>(最終回)

K社での現場カイゼン記

コミーよりの要求「多品種、少量、短納期にしてくれ」とは?

例えばA・B・Cという3種類のダンボールがあるとする。サプライヤーは、従来は30ヶ単位でAだけを納品し、また、翌日にCだけ30ヶというまとめて納品する方式でよかった。
お客様に在庫を持ってもらう古き良き時代もあった。ところが問題は同じ30ヶでも、明日Aを2ヶ、Bを20ヶ、Cを8ヶという必要数だけの要求があった時である。 この場合、Bは数が多いのでサプライヤーにとって数日前からわかっているのでつくっておけるが、AとCは急につくらなくてはならない。 A・B・Cの3種類をつくるのとAだけをつくるのとではセット時間は3倍違う。時間がかかったからその分高くしてくれ、とは言えない。
物づくりの経営者としては

  • セット時間をどこまで減らせるか?
  • 在庫をどこまで持たざるを得ないか?
  • すべての物の置き場の在り方や、歩く歩数をどこまで減らせるか?

等、寝ても覚めても考え、いろいろやってみなければいけないのである。 トヨタ自動車は何十年もこれを続けており、コミーも15年やってきた。K社にもやってもらえないだろうか?

運搬具や棚はなぜ手づくり(内製)でなくてはいけないか?

10年ほど前にショックを受けたことがある。NPSの工場ということで、一流のハイテク企業である横河電機(甲府工場)を見学した。なんとそこの棚や作業台は、ベニヤ等での手づくりであり、最新の自動組立機器等は並んではいなかった。受注の変化に対応するにはこの方が早いのである。 「半年後にまたガラッと変わっているかもしれない」と説明していた。棚兼運搬車ノコギリとハンマーで作業台や棚をつくれば、すぐに最適なものができ、後で変更も簡単なのである。また、ダンボールは超軽量であっても置き方・運搬方法は他の物とは違う特性がある。いろいろな大きさがあり、注文はいつも変化する。
そこで岡田(K社 社長)と小宮山(コミー社長)と柳館(コミー顧問)がキャスターとベニヤを買って、休日にノコギリとハンマーを使って棚兼運搬車をつくった。

「社員の意識改革ができるだろうか?」と岡田。

『NPSの奇跡』によれば、作業改革はかなり摩擦が伴う。今まで何十年もやってきた仕事のやり方を否定されて、いきなり知らない人が来て「違う方法をやれ」と言う。 がまんできずに辞めていく人が出たとあった。
K社の人たちに集まってもらい、小宮山と柳館が「これからの時代、なぜカイゼンをしなくてはいけないか」を30分にわたり話をした。 そして、「コミーはK社の近くにあります。コミーの工場を見にきてください。納得できると思います」とつけ加えた。 その後、素直にいろいろな作業カイゼンをやってくれたとのことである。心配した摩擦も起きなかったようだ。

歩く距離とセット時間をいかに少なくするか。

柳館は工場を何度も訪ね、一緒にカイゼンした。内容は、

  1. 工場の整理、整頓
  2. 台車のカイゼン
  3. K社独自の在庫管理の仕組みとし、最小限の完成品と適量の半完成品と素材が置けるよう棚のカイゼン
  4. セット時間削減(切断・折り目位置セット冶具カイゼン)
  5. ホチキス、小箱ペアリング、梱包作業の1個流し化
  6. 糊付け機カイゼン
    等である。

カイゼン結果

  • 使用するダンボール箱の欠品の心配がなくなった(コミー・K社)。
  • 在庫はほとんどゼロになった(非常用は別に置いた)。
  • 発注回数は1日あたり3、4回から1回だけになった。緊急発注もなくなった。電話でのやりとりもほとんどなくなった。(コミー・K社)
  • 以前は1日数回注文していたので、その度に注文書を出していたが価格入りの注文書がそのまま納品書、請求書となったのでリライト(転記、二度写し)が不要になった(コミー・K社)。
  • K社にNPS、SCMなどを実践、理解してもらうことができ、さらにこれを契機にK社が独自のカイゼンを始めた。
  • 倉庫からダンボール箱の出し入れがなくなり、WS(ウォータースパイダー)の工数が20%程度減った。

(注)WS(ウォータースパイダー)は日本語でミズスマシのこと。軽やかに動きながら部品を集め、ラインに供給したり、問題をいち早く見つけ出したりする人のことである。 以前、コミーは組立作業者自身が部品を集めていた。 しかし集め方のプロではなかったので、部品を欠品したまま出荷し、クレームになったことがあった。
その後WSを設け、作業者は組立作業に集中できるようになった。

今後の課題
「カイゼンは無限、今を最低と思え」 を継続するには?

コミーもK社も小企業であり、経営者が現場を見ながら、カイゼンを進めることができた。「カイゼンは無限、今を最低と思え」という言葉がある。今回はダンボールのみだったが、カイゼンしたいことは山ほどある。また、コミーではカイゼンしたつもりであっても、いつの間にか現場は劣化してしまったことがあった。デルからは国際的SCMを学んだが、限りなきカイゼン意識はトヨタから学び続けなければならないと思った。
以前にも述べたが、今、中国は人件費が日本の20分の1以下で、しかも安くて性能の良い機械を作れるようになった。 従って商品も安くて良い物ができるようになった。日本の産業が生き残るには多品種、少量、短納期の商品しかないと思う。

それには休日に生産システムの勉強会をやるくらいでなければいけない。同じ気持ちの人がおりましたら小宮山に御一報いただければと思います。また、御意見等もお待ちしております。

<追記>

ダンボール カイゼンの主な期間は 平成12年末~平成13年7月