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畳の部屋の物語

畳の部屋の「必要性」と「創造性」

新築にあたり、社長室などいらないから畳の部屋だけは作ってくれと依頼しておいた。
担当者たちは「社長の趣味だろう、しょうがない」程度に考えていたと思う。
何故、畳の部屋か? 「バカヤロー、これは必要なんだ!!」と断定出来る言葉を当時持っていなかった。
今はその必要性を言えるようになった。

30~40人が働いているところなどで、まず第一は「ゴロリと寝るところ」が必要である。

昔、巣鴨で昼はほとんど無人の事務所を借りていた時、入ったら床にゴロリとそのまま寝てる人がいてビックリした。
顧問の沢尾さんだった。
沢尾さんは電通などにも負けない、やり手のアカウントエグゼクティブで我々にマーケティングの基本を具体的に教えてくれた。
本も読み、超多忙、よくもまあ新しい言葉がどんどん出るもんだと感心した。

そんな人には仮眠室も必要だったのだ。

仮眠後は頭がスッキリし、考える能力が増大する。
仕事をするということは「考える」ことでもある。
世の中には深夜勤務もあれば、タクシー運転手型勤務もある。
マイクロソフトの創業時は寝袋を持ち込み、集中して仕事をやり遂げたとも聞く。

仕事が面白くなれば短期集中型の方が良いかも知れぬ。
「考える」には、勤務時間は9時5時で土日、祭日並みなど役所みたいでなくても良いはず。
また、30~40人がいつも働いていれば、ちょっと体調が悪くて身体を休めてみるところは必要だろう。
現に私が腰痛になった時、畳があったのでゴロ寝しながら仕事は出来た。
またひとり者などは家で寝るより会社で寝た方が安全である。
会社の方が医療情報もあるし、手伝ってくれる人がいるのだ。

従って和室は、狭い六畳間でも
1.年寄は昼寝が必要
2.若者は徹夜した時は必要
3.保健室として必要
なのである。

作るとなった時、顧問の三浦さんが
「畳の部屋だけを大淵さんに頼んでみたら…。すごいところの仕事をした人ですよ」とのこと。
大淵さんも三浦さんも自分の未来を語る異業種交流会「語志喜(第二金曜日夜 会費千円 誰でもOK)」の常連だ。

大淵さんは建て替え前の古い家を現場で描き、生計を立てているという。
先日も飛び込みで仕事がとれたと喜んでいた。
数年前に日経文化欄に1ページ載ったが、絵が上手な人程度に考えていた。

ところが、企画書を持って来て見せられてビックリした。
「六畳一間にこんないろんな思いが込められていたのか!!」
例えば「川口なら鋳物。床の間を鋳物にする」という発想。

川口へ来た当時は、汚い川があり、なじめなかった。

しかし、住んでいるうち、この川にも鯉や小魚やカニがおり、鴨や白サギが来て、それを楽しめるゆとりも出来て来た。
そしてすでに、川口で借金をしてここに根をはることになってしまった。
そうなると川口のブランド力をどうしたら上げられるかも提案しなくてはいけない。
エアバスもボーイングも零細企業のコミーをほぼ指定商品にしてくれたのは「made in Japan」のブランド力があったからだと思う。
また、畳の部屋は姿勢を正すの言葉通り「正座」というものが出来る。
松下村塾にしても茶道、華道、坊さんのお経も「正座」が基本である。
「正座」は落ち着き力や思考力が向上するのではないか。

大淵さんは、畳、壁、天井、家具などを一流の職人に頼んだようだ。
野暮な私にはいちいち説明されてもわからず、猫に小判的なものであった。

しかし、この六畳間は創造空間として、
1.来客には「コミー」と「川口」と「日本」を印象づけられる
2.我々は落ち着き、未来構想を練るところ

として、大淵さんや一流の職人たちが作ってくれた。
職人たちにはそれぞれ手の技術向上の物語があるはずである。
これを機に「美しいものの見方、作り方」を学んでいけると思う。

また、建物全体はブランド力(信用力と知名度)のあるダイワハウスさんに「変化対応型建物」をお願いした。
短納期で約束どおりほとんどトラブルなしに仕上げてくれた。

システムがしっかりしていて対応力が早い。安全対策一つでも学ぶところが多い。
この2つの出会いによって、コミーの社員全員が大きく育っていきそうだ。関係した皆様に感謝している。

竹カンムリのデザイン No.1へ続く
( ホームページ掲載日2008年11月 小宮山 記 2006年9月)