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航空業界参入物語<連載No.2>

ほんの軽い気持ちでボーイング社にサンプルを

航空会社の客室マネージャー氏がボーイング社へ推薦状を書いてくれた。 ほんの軽い気持ちでサンプルを送ってみたところ……。

●新たな開発への取り組み
3月13日は、FFミラーエアの商品開発の始まりの日でもあった。エアラインのマネージャー氏は、FFミラーのメリットを納得した後にこうつけ加えたのである。 「飛行機に設置する器具、備品に関しては、素材(耐火性・毒性)、構造や安全性など、厳しい規格、基準をクリアする必要があり、基本から見直さなくては使えません。頑張ってください」 このままの製品では、導入は無理! 我々は、新たな開発に取り組まなければならなかった。 我々に与えられたテーマは、飛行機の中でも安心して使えるミラー開発であった。とはいうものの、すべては初めてのことばかりで何から手をつけたらよいのかわからない。まずは先日のマネージャー氏にアドバイスを求め、それにしたがって開発に取り組むことにした。 まず素材については、割れにくい、燃えにくい、超軽量で薄型の特殊プラスチックとすることにした。 我々は現場の声を商品改良に反映させることを何よりも大事にしてきたので、こうした改良、改善には慣れており、業務は順調に進んだ。そして「エア記念日」から1カ月後の4月、耐空性燃焼テスト*に合格、(財)日本化学繊維検査協会の航空機燃焼試験証明書*を取得することができた。その後、航空会社の協力を得ての機内実験も8月まで計8回にわたっておこなうことができた。

●ボーイング社にサンプルを送付
その間の6月、アドバイスを受けていた客室マネージャー氏の勧めもあって、彼の書いてくれた推薦状をサンプルと共にアメリカのボーイング社*に送った。せっかくのチャンスだから、とりあえず送ってみよう。その程度の軽い気持ちだった。その推薦状にはこう書かれてあった。 ≪コミーという面白いメーカーとその商品を紹介したい。同社は樹脂の鏡メーカーで、紹介する製品FFミラーは平面であるのに凸面鏡と同じ役割をする樹脂製の鏡である。特徴は、①広い範囲が見える ②耐火性がある ③超軽量である ④両面テープがついていて取り付けが簡単である。これらについて質問があれば、コミーにコンタクトをしてほしい≫

●ボーイング社からのFAXが届く
2カ月後の1996年8月16日、ボーイング社から英文FAXが届いた。 そのFAXには、ギャレー(キッチン)のシステムエンジニアと購買担当者との名が記されていた。要旨は次のようなものであった。≪客室乗務員が乗客の動向を見る鏡について、貴社の製品を調べたい。米航空局と米ボーイングの要求に応じられるかどうか。サンプル製品にナンバーがないし、図面にはパーツナンバーがない。耐火性の証明がないが、日本の航空局は承認しているか。ボーイング社で使う場合は、以下の要求事項がある。製造工程はどのようにしてコントロールしているか。発注から納品までのスケジュールを知らせてほしい。米航空局の解釈によれば、ガイドライン*の変更に伴い、近い将来、貴社の鏡を必要とすることになるだろうから、すぐに回答してほしい……。≫

●レターの内容は、英語に堪能な知人でもわからないことだらけ
このレターの内容は英語に堪能な知人に訳してもらったが、専門用語もあり、内容がさっぱり分からない。頭の中は「?」だらけ。「我々からみれば、サンプルに製品番号やパーツナンバーがないのはあたりまえじゃないか。だからサンプルという」「回答といっても、何を回答すればいいのか」「製造工程のコントロールを話してしまえばこちらのノウハウが知られてしまうじゃないか」。本当にそう思った。とにかくこれまでの経験からでは、わからないことだらけだった。 とりあえず、ボーイング社には、FAXを受け取ったことと正式回答をもう少し待ってほしい旨をFAXし、推薦状を書いてくれた航空会社の客室マネージャー氏にFAX内容の意味を聞きに行った。 後で知ったことだが、ガイドラインの変更というのは、「現行のガラスの鏡では、不慮の事態が起きて鏡が割れた時に破片で乗客が負傷する二次的被害を与える可能性がある。だから割れないものを使わなければならないようにしなければならない」ということだった。 我々が「FFミラーを忘れ物防止用に!!」というニーズを着目したまさにその時期、米ボーイング社は「客室視認用の割れない鏡」を探していたのである。この千載一隅ともいえる大きなビジネスチャンスに胸を躍らせた、と言いたいところだが、実際は、このFAXを前に悩むことになった。 (コミーは、これまで“競争せず”にユーザーとのコミュニケーションで信用を築いてきた。しかし、もしボーイング社との取引が開始されれば、否応なく競争の世界に引きずり込まれるかもしれない。マイペースが好きで競争は好まない~この方針を翻したくない。しかし、これは大きなチャンスかもしれない)