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航空業界参入物語<連載No.4>

航空業界の仕事は、利益よりもイメージアップ優先?

川口での会談から3ヵ月後、ボーイング社から初の注文があった。初めて触れた航空業界の「常識」は、驚くことばかり。

●ボーイング社から初めての受注

ボーイング社に渡したサンプルは問題なくテストに合格していった。そして97年1月、米航空局の耐燃焼性テスト(フレマビリティ・テストレポートFARセクション25.853(a)基準)の合格証と共に、ボーイング社の耐火テストの合格の知らせが届いた。それには「Congratulation」と書かれた手紙も添えられていた。2月になると、ボーイング社より初めての注文書(P/O)が届いた。納品枚数は8枚。B777*の客室に採用されるのである。 採用されたのは、当初、我々が考えて開発と実験を繰り返したビン(手荷物用)ではなく、客室視認用ミラーであった。これだと一機あたりの使用枚数は、3~4枚。8枚は2機分である。ビジネスとしての広がりに不安はあったものの、ようやく端緒についたという実感を得た。そして3月、今度は、ボーイング社の特定納入業者である商社からギャレーに取り付けるミラー20枚の注文を受けた。他にも米ボーイング社と取引のあるドイツ、アメリカのギャレー・メーカー*からもFFミラーの注文が入った。これは、ボーイング社が取引している関係各社に「これから客室やギャレーの視認用ミラーは日本のコミーのものを採用する」旨、通知したからである。ボーイング社は、「コミーは技術だけではなく安定供給できるシステムができている会社」であることを認めてくれたのである。我々は、FFミラーが米ボーイング社の役に立ったということでうれしかったし、安心もした。 通常、航空業界は2社発注であるという。1社の製品に欠陥や事故が生じた場合、もう1社が補うというシステムが取られているそうだ。ところがFFミラーは、当社1社だけである。万が一、当社がなんらかの理由で注文に応じられなかったら、導入を決めてくれた担当責任者の顔は丸つぶれである。商社やボーイングの担当者の信頼に応えるためにも、どんなことがあっても安定供給できるよう、我々のリスクマネジメントのレベルを上げることが求められた。

●すべてが初体験。航空業界の常識とは……!?
コミーにとって、航空業界におけるすべてが初体験だった。そのため驚かされることも少なくなかった。中でも驚いたのは、航空機部品を製造している人の「航空業界の仕事は、利益よりもイメージアップ優先の、大企業の仕事だ」という言葉だった。 その理由は、安全性に対する厳しい基準に合格する製品開発には手間も時間もかかる。各種の承認のための検査にも時間がかかる。確かに一般の普及品よりも高い価格で取引はできるが、そう大量に発注されるものでもない。企業のイメージアップにはつながるかもしれないが、割に合わないビジネスではないか、というものだ。 なるほど運輸省の仕様承認を得た部品のリストを見れば、そこにズラリと並ぶ企業は、誰でも名前を知っている有名企業ばかり。聞くところによれば、航空機用と通常製品とは分けて作られているとのことである。しかし、本当にイメージアップ優先の仕事なのだろうか。 我々小企業にとって、儲からないというのは命取りだ。当初は儲からなくても、後で実りをもたらしてくれるものでなくてはならない。そして我々は、実りを確かなものにするため、積極的に販促活動や広報活動をおこなったのである。これについては、後に詳しく述べる。

●日本以外にもアメリカ、ヨーロッパ各国で特許申請
FFミラーエアの仕様承認申請のために、初めて運輸省に行ったのは96年10月。仕様承認申請書類は100ページに及んだ。 おもむくたびに書類の不備を指摘され、通うこと7回。申請費用は印紙代程度だが、書類作成のための人件費や時間がバカにならない。ようやく日本の航空局仕様承認589号が得られたのは、半年後の97年4月である。ちなみにこの「589号」とは、製品が承認された順番である。 また特許は、日本はもちろんのこと、初めてアメリカ、ヨーロッパ各国でも申請した。アメリカの特許は、出願1年後の98年12月8日に取得できた。きれいなデザインの特許証である。

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