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車椅子から見たニッポン<連載No.3>

車椅子でも楽しい一人旅「サンタフェ旅行記」<マサ記>

朝、7時30分のフライトに乗るため、5時に起床。準備を簡単に済ませ、アパートを出発。
空港に着き、不安ながら初めてインターネットで予約したチケットを無事受取り、そのまま問題なくフライトは離陸。
ラスベガスからサンタフェまでのフライトはおよそ1時間20分。東京―北海道間みたいな感じ。

レンタカーを借りるだけで「予約トラブル」「荷物トラブル」「駐車違反トラブル」の続出。
必死の喧嘩腰の交渉

サンタフェ到着後荷物を受取り、そのままレンタカーを受取るためレンタカーオフィスへ。

この日はとても混雑していたようで、電話予約した際も、ほとんどのレンタカー会社が予約満杯で、一番怪しいと思われた最も安いA社に決めた。
カウンターへ行くと、受付の担当者が眉を寄せて、なにやらコンピューターと睨めっこをしている。嫌な予感。
どうやら予約が入っていなくて、ハンディキャップ専用の車が用意できていないようだ。
こちらはしっかりと予約をしていたので、なんとか用意させるようアピール。

外で車が来るのを待っていたが、30分してもレンタカーは一向にやってこない。
どうやら「ハンドコントロール(手動アクセル装置)がうまく取り付けられない」との連絡のようだ。

さんざん待たされた挙げ句、やってきた車を見てみると、いままで見たことがないような不安定な手動装置が、ひもにぶら下がる形で取り付けられていた。
「こんな不安定な手動装置ではとても運転はできません。キャンセルします。その代わり他のレンタカー会社にあたってくるからそれまでこの車はキープできますね?」と捨てぜりふをはいた。

最大手のBレンタカー会社がかろうじてハンディキャップカーを所持していた。
なんとか問題解決はしたものの、B社の書類を記入している間に、外に止めておいたB社のレンタカーに駐車違反のキップが。

やっと空港を脱出!!
サンタフェへ向かう

おまけにA社レンタカーのトランクには、私の荷物が入っているにも関わらず車庫に既に運ばれてしまっていた。
B社のレンタカーで荷物が入っている車を探しに、数社のレンタカーの車が数多くある駐車場まで行くことになった。
「あっ、あれだ!」と車両を発見すると、なんと新規の客が乗り込もうとしているではないか。

車を止めて、急いで車椅子を下ろし車椅子に乗り換えて「ちょっと待ってください。トランクに私の荷物が!!」
新規の客は首をかしげながらも、トランクを開けてくれた。案の条、その中には私の荷物があった。
さて、次は、駐車違反キップの交渉。

同じ駐車場に、B社の駐車場があったので、そこにいた係員にクレームをつけた。
B社は「それはあなたの責任」と言い張ったが、最終的には罰金をB社に支払わせることができた。
やっと空港を脱出。サンタフェまでは空港から一時間程。

やっと着いたホテルでもトラブル。ホテルを変更

サンタフェの予約したホテルに着くやいなや、ここでも同じようなトラブル。
なんと泊まるはずだったハンディキャップ用の部屋に滞在している客が滞在日数を延期したので、部屋がないとのこと。ホテル側は、より高級なホテルを同じレートで紹介するからそれで勘弁してくれと。
レンタカー会社のいざこざで疲れていた私は、確実に、問題なくとにかく泊まれるところを紹介して、と訴えることで精一杯。 興奮した気持ちを抑えるため、ホテル内にあるトイレに行き一服する。ここでやっと冷静になれた。
フロントの担当者も代わりのホテルは、いいホテルだと言っていた。

いいホテルでほっとした。早速、散歩。車椅子から思いきり落下

サンタフェを散策

変更先のホテルに行くとこれが結構いい。
しかしながら、心情としては、「もうどうでもいい」という感じでチェックイン。
部屋で一休みした後にホテルの周辺を車椅子で散策する。街自体が古いせいか、歩道がガタガタ。
スロープも少なく、おまけに思考能力が低下していた私は、ちょっと高めの段差を、無理して下りようとした。
そしたら、思いきり真横に転び、車椅子から落下。久しぶりだった。
近辺を走っていた車の人たちみんなが、わざわざ車を止め、ダッシュで駆け寄ってくれた。
体を支え車椅子に戻してくれた。
次々にみんなが「だいじょうぶか」とか「この道を渡るのか」とかいろいろ声をかけてくれた。
トラブルに見舞われていた一日だったことに加え、転ぶとは今日は絶対についてないな、と転んだ瞬間かなりのショックを受けていた自分にとって、こうした親切はなんかじ~んと心にしみた出来事だった。

最後はフラメンコの生演奏で蘇る!!

バーで一日の疲れを癒す

とりあえずホテルに戻って体の傷をチェック。少し休憩を取ることにした。こういうときは、下手に動かない方がいい。
夜になり、気分転換にでもと、夕飯を食べに出る。
現地雑誌で見つけたイタリアンレストランへ行く予定が、勘違いして違う店に入ってしまった。
そこで、黒ゴマがいっぱいかかったサーモンをワインとともに食べ、その後、バーに移り、マルガリータを注文。
その店には、フラメンコを生演奏でプレイする弾き語りがいた。
カクテルの酔いも手伝い、熱い時間がフラメンコのミュージックとダンスとともに過ぎ去り、一日の疲れがここで全て消化された。
今日一日はレンタカー予約トラブル、荷物トラブル、駐車違反トラブル、ホテル予約トラブル、車椅子転倒と5連続トラブル。
しかし、最後は感動的なフラメンコの生演奏と酒で締めくくることができた。

二日目は初日に比べられないくらい、ゆっくりとした時間を過ごせた。
午前中は徒歩でギャラリーや、クラフトが並んでいる通りをゆっくりと散策。
昼食をその通り沿いにあるイタリアンのお店でシーフードパスタを半分サイズにしてもらい、それでもう満腹。そして安い。午後はダウンタウンで車を駐車場に止め、街の中を車椅子で散策する。
やっぱり、街並みが古いせいか、店の中に段差があって入れないところがあったりしたが、それはそれで古い町を維持しようという結果なのかもしれない。
夕方、少し疲れてきたのでホテルに戻り、夕食まで少し仮眠。
その晩は昼食をとったレストランでピザを食べた。
自分でトッピングを選び、あまりよくわからなくて、適当に注文したところ、ちょっとしょっぱくなってしまったが、その分軽めのビールが合い、十分に満足な夕食だった。
ホテルに戻り、暖炉(Fire Place)のあるラウンジでソファーに腰掛け、ここでもマルガリータを注文。
もともとニューメキシコにはメキシコ系の人種が多い。
また、マルガリータも元はメキシコからのものであるため、あるレストランでは40種類以上もあるとか。

私の荷物が見あたらない

翌朝、起きてみたら晩のうちに少し雪が降ったようで、ホテルの庭には雪が積もっていた。
「不思議な階段」があるという教会に行き、その後、お土産屋に立ち寄り、早めではあったが、空港に向かう。
早い便があればそれに切り替えようと思っていたが、どうやらそういったフライトは無いらしく、かといって、レンタカーを返してしまった後では動きがきくわけでもない。
疲れていることだし、ゆっくり本でも読もう、と空港のラウンジの窓際に座り、ぼんやりと本を読むことにした。
多少、フライトの時間が遅れたが、ラスベガスに無事到着。ここまではすんなり済んだ。
しかし、そうは楽に帰してくれなかった。私の荷物が見あたらない。荷物の紛失。
また帰るまでに何か、もう一つぐらいトラブルがあるんじゃないかとたかをくくっていたので、もうそんなに驚きはしなかったが、航空会社のオフィスに行き、紛失用の届出用紙に名前などを書いて、そそくさと家路についた。

その後、一時間後に「見つかった」と電話があった。
その電話口で、「今夜中に届けてくれ」と頼んだが、12時をまわっても来ない。
「きっと明日の朝かな」とあきらめて寝ることにした。そこに「ガンガンガン」とノック。
ベッドから出ていくと、宅配員が立っていた。
「遅いんだよねぇ」となげき、バックを見るとバッグには埃が付きまくっていた。恐らく、どこかに落ちていたのだ。
そんな、こんなの旅だった。

No.4へつづく