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車椅子から見たニッポン<連載No.6>

イスの上にも3年———————————–
当初は恐怖の連続でしたが、最近は花を楽しめるようになりました。
<山田福壽記>

車イス生活、はじめの頃はひとりで街中に出かけることはスリルとサスペンスの連続でした。

車イスの視点から見ると、健常者の頃にはまるで感じなかった事がこれほどまで怖い事なんだと感じる事が多く、例えば向かってくる自転車のハンドルが異常に眼に近づいて、とても怖い思いをしました。

車イスに乗っていると、とっさに機敏な動作が出来ないので自分では避けられないと思うと、相手の注意力に頼るという事がどんなにか恐ろしい事で、凍りついたように目をつぶって通り過ぎるのを待つ事もしばしばでした。

自転車の方は、向かいから来る車イス生活者に目線を一度合わせていただければと思います。そうすれば我々車イス生活者は相手が自分を認識したと分かり、必ず避けてもらえると安心感がもてて助かるのです。

クリックすると拡大します。車イスは屋内の床を走るぶんにはスムーズで乗り心地も良いのですが、ひとたび外に出ると、歩道のデコボコによる1~2センチの段差が体に直接響いてくるので、見た目よりかなり苦痛です。
買い物でお店に入るとき入口に3センチぐらいの段差があると助走をつけても通れないことが多く、入口で止まってしまいます。

もしお店の入口で止まっている車イス生活者がいたら、ひと声かけて押してもらえれば大変助かります。出入口では、こちらから声をかけづらい事があるのです。また、車イスは立っている人から見ると高さがないので目に入りにくい事があります。

私は車を運転する事が多いのですが、車イスマークのある駐車スペースに健常者の車や自転車が停められていて使用出来ない事がたくさんあります。車イスマークのある場所は、車イス生活者が動きやすいように配置されたところですので、思い出していただけたらと思います。

車イス生活も3年目に入るとだいぶ余裕がでてきます。そのため、周りの風景を見ることが出来るようになりました。そして気がついたことは道路の生垣や民家の良く手入れされた花壇などをとても近くで見れる事です。思いがけないお花見を楽しめます。このような時は、車イス生活も悪くないと思え、これから続く座って生きる人生も苦とは思わず普通に生きられそうだと思えてきます。何事にも慣れる事が大切だとつくづく思えてきます。

No.7へつづく

略歴

山田 福壽(ヤマダ フクジュ):

1946年東京都生まれ。1981年、海外商品の日本企業へ売り込み代行の会社アンクル創業。52歳で脊椎硬膜外血種を患い、下半身不随となる。現在、障害者による障害者と介護者のための講演、本を執筆、出版のため活動中。