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「万引問題」物語<連載No.9>

万引問題は、捕まえた人に聞け!

このままでは、万引は増え続ける!

念願の「万引問題解決法」の内容は期待以上だった。 この本の副題には、「片手で抱いて 片手で殴れ」と記されていた。

万引問題解決法
「万引問題解決法」

『万引問題解決法』の刊行にあたって我々からお願いしたのは、「ほんの半頁でもいいから、防犯ミラーの現場での事実を書いて欲しい」ということだけだった。 そしてできあがった本では、約2頁をさいて、防犯ミラーについて書かれていた。 その内容は取材を基にした事実としてきちんと書かれていた。 他の防犯機器に関してもそれぞれの特長がまとめられ、全体が「例の本」とは違って、机の上ではなく、自分の足で現場をめぐり話を聞いてまとめた力作だった。 テレビで万引犯の逮捕の瞬間を見たことがある人もいるだろう。 しかしそれは、万引のほんの断片的な一瞬に過ぎず、万引問題の全体像ではない。 しかし、この本は、万引問題を全体からとらえ、その解決法を考えるという姿勢で書かれている。

苦労して捕まえて警察に連れていくと……

一人の万引犯を捕まえるまでの大変さは、これまでの話で理解してもらえただろう。 そして捕まえた後も、警察に引き渡すかどうかについて保安員らは葛藤する。 一方、店側から万引犯を引き渡された警察の対応はどうなっているのだろうか。 それが、どうも「片手で抱いて 片手で殴れ」の精神からはほど遠いようなのである。 つい最近、ある大手小売店の本部を訪ねた折に、保安担当のB氏から聞いた話には驚かされた。 B氏はまず、万引をはじめとする窃盗犯に対する警察の対応、手続きをわかりやすく説明してくれた。 B氏によれば、警察の窃盗への対応には大きく3種類あるという。 まずは強制捜査。現行犯としての逮捕や緊急逮捕し、身柄を拘束する。 二つ目は任意捜査。これは身柄を拘束せず、必要な書類を作成、送致する。 そしてこの二つの他に「微罪処分」というものがある。 これは、被害額1万円以内で、犯人が反省し、被害者も被害届を出さないといった条件下での処分だ。 強制捜査、任意捜査に比べて軽い処分であるが、警察にはその処分の記録が残る。

これでは、始末書を書いて、謝っておしまいだ!

以上の三つが警察にその処分内容の記録が残るものだ。 そしてこれらの他に警察の記録に残らないものがあるという。「始末書扱い」である。 記録に残らないため、再犯であっても、警察ではその確認ができないことになる。 1万円以下の万引に対して、微罪処分にするか、始末書扱いにするかは、警察の判断によるが、始末書扱いの方が、警察官の書類作成などの負担は少ない。 B氏は、警察の万引への対応がだんだん甘くなってきているという。 例えば、微罪処分さえもしぶり、始末書で済まそうとする傾向。さらに微罪処分の1万円以下という金額条件をもっと上げようとする動きがあるらしい。これを2~3万円にしようというのだ。つまり万引犯に対して甘くなるわけだ。 万引犯を苦労して捕まえ、警察に連行しても冷淡な扱いを受けることがあるのも、警察に「たかが万引」という考えがあるからなのだろう。警察から「店の人間をもっと増やせば万引は減らせるはず。万引対策が甘いのではないか」と、まるで「万引は、やられる店が悪い」と言わんばかりの対応をされることもあるらしい。

お店は警察を敵に回せない!? 警察の評価はマスコミしかないのでは?

我々は、小売店が万引犯を捕まえて警察に突き出せば、警察に感謝されるとか、店と警察の協力関係があるのかと思っていた。しかし実情は違う。B氏は話の最後に重要なことを言った。「警察は敵に回せない」と。 長年にわたり地元でお店をやっていれば、大きな事件が起きないとも限らない。 その時、警察にすぐに動いてもらうには「敵に回せない」と考えるのも当然かもしれない。 我々納税者のほとんどは、現場の警察官の仕事ぶりを知らない。マスコミからは、ただ断片的に「新潟の警察幹部の腐敗雪見酒事件」や、たしか埼玉での「娘が殺されるといくら訴えても何もせず、結局殺人が起きてしまった事件」だけが伝えられるだけである。そしてしだいに忘れていく。 警察の評価はやはりマスコミの役割だろう。「警察は本当によくやっている」のか「内情はひどいもの」なのか? それをぜひ読者であり納税者である我々に伝えてもらえないだろうか。

万引した商品の買い取り市場も大きくなっている

“警察を敵に回せない”店側の問題はさらに深刻になっていくだろう。 今後は失業率も上がり、食べていくための万引もますます増えていくに違いない。 別にその日の食料を万引するのではない。盗んだ品を換金するのだ。そういう「市場」がすでに形成されている。 今は、新古書店などリサイクルや中古市場も大きくなり、万引した品を換金しやすくなっているのだ。 1万円以下の古物買い取りでは、身分証明書の提示が免除されている(注:古物営業法上の規定である。 コンピュータゲームソフトや自動二輪車ほか特定の物を除き、1万円以下の買い取りでは身元確認義務が免除される )。 レコード店の担当者に聞くと、封も切っていないCDが発売初日から中古店に並ぶという。 中古店もこうした「新品同様」の品は高く買うらしい。状況証拠としては限りなく怪しいが、売る方も、買う方も「買ったものの、聞く前にいやになった品」という建て前だろう。 最近の警察の姿勢、万引商品買い取り市場の増加などを見る限り、万引問題はますます大きく複雑になるばかりだ。

B氏から届いた「生の声」

本稿作成の後に、B氏から「原稿の枚数等に制限がないのであれば、警察の対応について、ぜひ掲載して欲しい具体的事例がある」とのことで、文章を頂戴した。 我々は素人で、専門的な部分はわからないが、万引問題の実務担当者の生の声なので、現場での一例として要約し紹介する。

○万引の現場から

取り扱い警察官にやる気がないのか、幹部の判断ミスなのか、いずれにしてもやたらと時間がかかり過ぎることが多いのです。最近もこんなことがありました。 3万円分の商品の万引犯を捕まえて警察官に突き出したら、その犯人は住所不定、無職で窃盗罪の前歴があったのです。本来、このような場合には、その時点で現行犯逮捕(身柄を拘束)し、必要書類を身柄と共に検察官に送致すべきです。任意捜査にして必要書類を送致しても、犯人が検事の呼び出しに応じ出頭する保証がないためです。 しかし、警察はそうしませんでした。交番から同行した犯人と被害者などから事情を聞き、総合的に判断して事件を指揮すべき地域課の幹部は何も判断せず、ただいたずらに時間ばかりが経過しました。そしてその後、刑事課に場所を移し刑事が調べたのです。 このように時間が経ち過ぎると、せっかく捕まえた犯人から不当逮捕と言われる恐れがあるのです。 その事件を扱った担当者の記録にしか残らない「始末書処分」にされた例が最近だけでも5件ありました。 我々は、このような犯人ほどきちんと処罰して欲しいと思っていたのに……。 商品には傷が付いてしまい売り物になりません。犯人に買い取ってもらいたいのですが、本人はお金がなくて万引しているのでこれも難しい。まさに被害者は踏んだり蹴ったりです。 なぜ始末書処分が増えるのか、その理由を私なりに想像してみました。 1:他のもっと重要な事件の捜査があり忙しい 2:被害額が大きく、前科、前歴もあり「微罪処分」にできない (被害金額を下げて微罪処分にすると、後日、検事から書類送致を求められると困る) 3:任意捜査にもできない (住所不定、身柄引受人もいないので、後日の検事からの呼び出しへの出頭が担保できない) このような警察官の初歩的なミスや怠慢で、公平さを欠く処理をされては、本当に悪い人間が罰せられず、社会的な責任を取ることがないことに、本当に怒りを覚えます。

番外編へ続く

お試し無料貸出し制度

最適なミラーを選ぶには(1)映る範囲、(2)像の大きさ、(3)使用環境の3つの条件が決め手になります。 現場で確認したいこともあると思います。詳細はご連絡ください。(個人のお客様は除きます)